つくるプロセスや使われている様子を大切にした作品集 / Inui Architects—乾久美子建築設計事務所の仕事

20190612
20190612

「JA87号」などに続くかっちりしたフォーマット

建築家が本をつくる時、フォーマットそのものを「アーキテクチャ」としてデザインの対象とし、そこに素材をレイアウトすることがありますが、私たちもそのような考え方で書籍を捉えることを好んでいます。「JA87号」「小さな風景からの学び」と同じように、全ページに共通するレイアウトグリッドを決めて、それを使いこなすように編集作業を進めました。建築設計で柱の位置を決めて、それをスタートにプランニングを進めていくことに似ているかもしれません…。今回は1見開き=1テーマというフォーマットで全体を構成しています。見開き単位で情報が完結する気持ちよさとシンクロするように、開いたまま安定するようなつくりになっています。ちなみにカバーは柔らかいラバー製ですが、建築設計の実務で日々お世話になっている「公共建築工事標準仕様書」(という業界っぽい渋い本)と同じつくりであることがひそかなネタです。

スタディから竣工後の様子まで

作品紹介では、竣工後に撮り下ろしたものも多く、竣工して人々やものと共にある日常の様子から、設計初期のスタディ段階のスケッチといった様々な種類と場面の情報を掲載しています。それによりプロジェクトの始まりから現在までの時間を行き来しながら、建築の全体を読み解いていけるような本にできればと思いました。作品の説明見開きのテーマに応じて、写真や図版とフラットな解説文として並列させています。写真や図版、解説文による全13作品の紹介を中心に、図面資料などのデータ編、そして乾による25000字の論考「小さな風景と建築」という3部構成になっています。写真は独立当初からずっと撮っていただいている阿野太一さんと、山岸剛さんのお二人のものがメインとなります。ブックデザインは建物のサインなどでたびたびお世話になっている菊地敦己さんにお願いしました。

20190612

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information

出版

2019.8

著者

乾久美子

発行者

佐竹葉子

発行所

LIXIL出版

編集

乾久美子建築設計事務所(森中康彰+沼田優花)
スペルプラーツ(飯尾次郎+中村睦美)

翻訳

アラン・グリースン

ブックデザイン

菊池敦己

DTP

菊池敦己事務所(森裕美子)

担当

乾久美子、森中康彰、沼田優花

撮影

山岸剛、阿野太一、その他