集落の再生プロセスのために小屋群をネットワーク的につなぐ / 「みんなの家」の提案

20140412

「小さな風景からの学び」のリサーチの原点となるプロジェクト

これは、建築家伊東豊雄氏の呼びかけにより、国内外の建築家がそれぞれに東日本大震災の被災地に「みんなの家」を考えるというプロジェクトに参加してつくった提案です。Inui Architectsは「みんなの家」として集落の再生プロセスのための小屋群とネットワークのあり方を提案したのですが、この提案のために訪れた被災地で出会った沢山の小屋やその周りの風景のすばらしさやかけがえのなさに触れたことは、「小さな風景からの学び」という風景のリサーチへと展開しました。

20110711

「みんなの家」というテーマに対して

東北地方を歩いていると沢山の小屋に出会います。農業や漁業や日々の暮らしのための小屋が住民の手により自由に作られています。そうした小屋の文化を引き継ぎ、津波の被害を受けた集落に、新しい小屋をところどころ配置することを考えました。漁業のための番屋、農地を耕し直すための作業小屋、ボランティアのための休憩小屋、バス停としての小屋など、さまざまな用途に使われることを想定しています。また、沿岸部に住まわなくても海と共に生きていけるように、バス道や尾根沿いの歩道などの移動のためのネットワークを考え、小屋をそのネットワークに寄り添うように配置することを考えました。「みんなの家」というテーマに対して、ひとつの建築物で答えるのではなく、集落やまち全体が「みんなの家」であるための原理を考えようとしました。

information

期間

2011.7

担当

乾久美子、綿引洋

計画地

岩手県陸前高田市

撮影

乾久美子建築設計事務所