コアのゆらぎで各フロアの部屋の重心を最適化する / アパートメントI
限界ともいえる小さな敷地で集合住宅をつくる
都心の小さな敷地に立つ集合住宅です。敷地のサイズは、集合住宅を建てるには限界ともいえるものでした。さらにこの敷地では道路斜線制限が最も厳しく外形を制限するものだったため、天空率(ある地点から建物を見たときの建物と空の割合を示す比率で、斜線制限の替わりにつかうことのできる規定)を使い切りながら最大限の体積を立ち上げています。各階の階高は2.5mと最小限に抑えて半地下をつくりつつ5階建てとし、要求されていた5戸の集合住宅という施主の希望をかなえました。
全てフロアのプランが違う
共用階段のコアを一工夫しています。階高が低いので、各階は踊り場のない鉄砲階段で十分あがりきります。すると、階段の到着位置は各階で左右交互に入れ替わるので、そのことを利用しながら、偶数の階のプランをロの字、奇数の階のプランをコの字と違うものにしています。さらに階段の位置そのものを別の断面軸上で(今度は意図的に)動かして、ロの字とコの字のプランを鏡像反転させています。つまり、全てのフロアのプランが異なるのですが、これによって、いろいろな高さの建物が建ち並ぶ周辺環境に対して、各階の生活の重心を最適なものにしようとしました。
information
- 期間
2005.8〜2007.3
- 用途
集合住宅
- 担当
乾久美子、山田盛治
- 所在地
東京都渋谷区
- 延床面積
128m2
- 設計
建築・設備 乾久美子建築設計事務所
構造 KAP- 施工
大作
- 撮影
阿野太一