風景を少しだけ分類することに建築をつかう / スモールハウスH

20090817
20190122

農家の裏庭にゲストハウス?

始めて敷地を訪ねた時、本当にここにゲストハウスを建てるのだろうかと思いました。周りに広がる風景は、うっそうとした竹藪、母屋、フェンスなどが混在する雑多なもので、眺望が広がるわけでもなく、ただ山裾の一角といった風情だったからです。そうした風景でもゲストが楽しめるように風景の要素を分類するような方法をチャレンジしました。まず、正方形の平面を対角線で仕切った形をしています。周辺の要素の切り替わりの位置にあわせて配置しているので、敷地に対して斜めになっています。すると、大きな個室からは小川と竹、浴室からは石灯籠とススキ、ダイニングと小さな個室からは、農家と庭がそれぞれの雰囲気で、横長の、屏風絵のようなプロポーションの窓とともに楽しめるようになりました。風景を少しだけ分類するために建築のプラニングをいかしてみる、という方法を実践しました。

万華鏡のように変化する室内環境

面白いのは、小さなゲストハウスなのに全く異なる雰囲気をもつ部屋がぎゅっと集まっていることです。ドア一枚をくぐって部屋を移動する度に、景色だけでなく、部屋を満たす外光の色や外からはいってくる音の質が驚くほど変化します。来てくださった方からは「なんだか万華鏡の中にいるみたい」というお言葉をいただきました。

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information

期間

2007.4〜2009.7

用途

ゲストハウス

担当

乾久美子、山田盛治、奥山尚史

所在地

群馬県高崎市

延床面積

42m2

設計

建築、設備 乾久美子建築設計事務所
構造 KAP

施工

安松託建

撮影

阿野太一