被災地で人の集う場所をつくる / 陸前高田「みんなの家」
津波により立ち枯れした杉でつくる「みんなの家」
東日本大震災の被災地、陸前高田市内に建設された集会所です。4人の建築家による共同設計で、津波の塩害で立ち枯れしたスギの丸太19本を柱にして、階段をらせん状に外周を回すように設置した木造2階建ての建築です。キッチンのある土間スペースや縁側での団欒の時間や、最上部の物見台からの陸前高田の町や太平洋の眺めを共有することで、地域の方々だけでなく、この地域を訪れる方々に広く開かれたコモンズとなることが目指されました。
2022年には嵩上げされた中心市街地に移設
第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展では、この建設プロセスのドキュメントを展示した日本館が「金獅子賞」を受賞しました。本建物は土地の嵩上げにより移転をするため2016年に解体され、現在は、陸前高田市の嵩上げ区域の一角に、イートインスペースのあるお惣菜屋さん「おかず屋和笑輪(わわわ)」に隣接して再建されています。再建後は少しずつ進む中心市街地の復興をより充実させる拠点になるべく、多様な用途に使われることを想定しています。再建設計・監理は平田晃久事務所により進められました。
information
- 期間
2011.11〜2012.11
- 担当
乾久美子、綿引洋
- 所在地
岩手県陸前高田市
- 設計
建築 伊東豊雄建築設計事務所、乾久美子建築設計事務所、
平田晃久建築設計事務所、藤本壮介建築設計事務所
構造 佐藤淳構造設計事務所- 施工
建築 シェルター
衛生 千葉設備工業
電気 菅原電工- 撮影
新建築社写真部
乾久美子建築設計事務所