ハリボテ的な高級住宅に実用的な白い穴をあける / 新建築社青山ハウス

20160603

住宅らしい小さな部屋のつらなりを使ってパブリックな場をつくる

ツー・バイ・フォーの戸建住宅をリノベーションする計画です。内装をすべて撤去しスケルトン状態にしたところ、ガレージドアに平行して2列の鉄筋コンクリート壁が出てきました。鉄筋コンクリート壁はワンフロアのイベントスペースとしたいという要望を諦めざるをえない存在でしたが、耐力の減少を避けるために手を加えてはいけません。その代わりに、2列の壁で仕切られる3つの空間をおだやかに連動させながら、イベントなどと上階での編集活動を同時に行えるような、まざりあっていることが面白くなるような、建物全体の運用について考えました。竣工後は新建築社の編集部のアネックスやイベントスペースとして、自在に使われています。

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ハリボテ性から洋風建築がかもしだすパブリック性へと意味をシフトさせる

外観は18世紀後半の独立後のアメリカで流行ったフェデラル様式を真似たもので、日本のまちなかで見かけると、いかにも高級感を醸し出すためのハリボテといった印象があります。ただ、外装まで変更すると予算を大きく超えてしまうこともあり、ほとんど手をつけていません。かわりに穴をあけるようにスケルトンにし、そこに白くした階段や棚などをすこし加えています。概念的にはハリボテ的な高級住宅に実用的な白い穴をあけたとでもいえる計画です。しかし、対比そのままデザインとして実現するのではなく、階段の手摺にカーブを取り入れたり、本棚を既存壁から離して置くことなど、少し装飾的にすることで,洋風の外観に合わせるような微調整をしています。全体は人の集まるパブリックな要素を加えながら仕立て直すような作業でした。かつて、洋風の建築がパブリックな性格を感じさせたように、おおらかな開放感へ繋がるようにならないかと考えました。

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information

期間

2015.2〜2016.02

担当

乾久美子、大藤尚生、沼田優花

所在地

東京都

延床面積

154m2

設計

建築 乾久美子建築設計事務所
構造 テクトニカ
構造協力 東京藝術大学金田充弘研究室
設備 EOSplus

施工

建築 北野建設
機械 経塚工業
電気 東豊電気

撮影

新建築社写真部