既存建物の建設時の理念をリノベーションにいかす / ルームK
1960年代、日本のモダニズムが輝いていた時期の建築
1960年代初期に建設された集合住宅の一室のリノベーションです。本体は、高度成長期が始まる頃に建った近代的建築で、経年を感じるものの無駄のない清廉なデザインが今だに目を引く物件です。本体がそうした魅力的な建築であることもあり、室内だけをインテリア的にリノベーションするのではなく、既存建築の理念にマッチするような、それを現代において解釈するとどうなるのか、というようなことを大切に設計をしました。
南北の余裕を活かすプランニング
本体は敷地の真ん中に堂々と一直線にゆったりと配置されています。南側は奥行のある共用庭になっており、北側は駐車場などのユーティリティが余裕をもってつくられ、その先には都心の風景が広がってきます。この環境をいかすようなリノベーションとするため、水回りを集めたコアを中央に配置して、南北の両方に生活を開くようなあり方を考えました。南の庭のサッシュを開け、ジャロジー扉でプライバシーを穏やかに守りながら北側の玄関を開け放つことで、大半の季節を気持ちよく過ごすことができる部屋になっています。
棚に道具があふれる楽しいキッチン
ルームKを特徴づける壁いっぱいの本棚はそのままキッチンへもつながっていきます。壁厚を利用した奥行きの浅い棚に、こまごまとした道具や調味料などが並んで、使いやすさとと台所らしい楽しさを生みだしています。
information
- 期間
2016.4〜2016.12
- 用途
住宅
- 担当
乾久美子、芝原貴史
- 所在地
東京都
- 延床面積
75m2
- 設計
乾久美子建築設計事務所
- 施工
青
- 撮影
山岸剛、新建築社写真部