かつての漁村集落や町工場+産業道路のハイブリッドな風景になじませる / 下町の共同住宅(共用部インテリア・外装・外構デザイン)

20230217

かつての漁村集落や町工場+産業道路のハイブリッドな風景の要素になじませる

長谷工の企画・設計・施工の賃貸マンションの外装、共用部の内装、外構のデザイン監修として参画したプロジェクトです。敷地は、かつての漁村集落や町工場があった下町らしい雰囲気と、産業道路に囲まれたハイブリッドな環境です。
建物は産業道路沿いの高層棟と下町側の低層棟の2棟で構成されており、それぞれがワンルームの集まりでありながらも、周辺環境のスケールになじませることや、バルコニーによる外部空間が豊かになるようなマンションのあり方を考えました。

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ワンルームの群の表情をやわらげるランダムなバルコニー

外観は、ワンルームタイプの部屋の集まりである印象をやわらげるために、バルコニーの切れ目を色々な位置に設置し、手すりや隔壁の色、素材、開口率の違いによる群をつくり、背後に広がる下町の建築群のスケールにあわせていきました。所々吹き抜けのような場所があったり、バルコニーを構成する要素の組み合わせを多様にすることで、ランダムなリズムを作っています。小さな差異が重なることで、日本の集合住宅に特有な水平に連続するバルコニーと隔壁が反復する風景ではなく、ヨーロッパのタウンハウスに見られるような個別バルコニーの雰囲気を醸し出し、部屋によって外部環境にバリエーションが生まれることを期待しています

ゆるやかなシェアを楽しむ共用スペース

全体が会社の寮としても使われるため、共用スペースにはアイロンや遊び道具を入れるシェア棚を設置し、スペースだけでなく、多様なグッズもシェアできる楽しさを提案しました。また、働くことと住まうことが一体化した共用スペースのありかたとして、テレワークができるスペース、テレビ鑑賞やくつろぎスペースなど多様な用途に対してそれぞれの居場所づくりを行っています。
階高に制限のある計画でありながら、できる限り開放的なくつろぎ空間とするために、水平方向に外部への抜けをつくることや、外装にも用いたルーバーを天井や空間のしきりとして散りばめています。エントランスアプローチ周りは、桜などの樹木を眺めながら一休みできる、地域にも開放された防災公園として計画されており、マンション内でのシェアの醸成だけなく、まちとのつながりを感じさせる環境を目指されています。

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期間

2020.9〜2023.2

用途

集合住宅

担当

乾久美子、大藤尚生、沼田優花

所在地

東京都大田区

設計

長谷工コーポレーション
外装・外構・共用部内装 乾久美子建築設計事務所

施工

長谷工コーポレーション

撮影

Tomoyuki Kusunose/FWD