ふたつのグループホームをひとつにする / ときがわ町のグループホーム・クレア

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20231110_鉢植えのカウンター
20231021_利用者さんが描いた表札のイラスト。観察力の高さに驚くと同時に、設計者にとって喜ばしいサプライズで感激しました。
20231011_ゼロ円植栽計画、何割かでも冬を耐え忍んでほしい
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20230705_ボード貼り進行中
20230619_外倉庫から現場入り口を見る
20230619_仮囲い越しにうっすらと折板屋根の全形が見える
20230530_廊下よりダイニングを見る、木と折板のインテリア
20230530_下側折板、間柱取付け
20230519_ささやかな上棟式と利用者さんのちらっと内覧会
20230519_ささやかな上棟式と利用者さんのちらっと内覧会
20230515_建て方途中、建物の骨格があらわに
20230508_仮設足場
20230501_コンクリート打設後、RCの腰壁たち
20230403_配筋、先行配管、職人さんの美しい手仕事
20230327_基礎梁掘削、防湿フィルム敷き、隣地に咲く満開の桜
20230227_鋤取り、整地、浄化槽掘削
20230126_地鎮祭

ふたつのグループホームをひとつにする

東松山市を中心に福祉サービスを展開する社会福祉法人昴と共に、ふたつのグループホームをひとつにまとめることを検討しています。今のグループホームのひとつは女性向け、もうひとつは男性向けと大きく異なります。また毎日の生活のリズムも、それぞれが周辺環境や利用者の方々の障害の特性にあわせてきています。そうした中で、ひとつにまとまる安心感や運営の合理化をはかりながらも、これまでに近い生活環境をそれぞれが保てるように穏やかにゾーニングしながらプランニングしています。ジグザグの形は、見ようによってはふたつの棟にもみえるように、とのことから来ています。

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グループホームをすこし開く

それぞれのゾーンにひとつずつ、短期入所が可能なスペースを設けています。短期入所のスペースは外から直接アプローチしやすい場所に設けており、アール・ブリュットの作家でもある昴の利用者の作品展示などにも使うことを考えています。また、スタッフルームの窓を野菜を直売するカウンターにしたり、法人がもっているキッチンカーを使ってサイクリストにドリンクを提供したりと、すこしばかり社会との接点のあるグループホームを目指しています。他にも、足湯につかりながらゆったりと過ごせる縁側や、庭には畑を用意して、中と外をつかいながら毎日を楽しく、穏やかに過ごせるようにしています。また、部屋の扉と壁を同じ色で塗装することによって、だれもが視覚的にわかりやすい環境をつくる「構造化」にも取り組んでいます。

民家のようなあり方をめざして

周辺は山林と田園風景、大型の業務施設、郊外住宅地、歴史的な街道沿いの風景などがパッチワーク状に広がり、都市のようでも田舎のようでもある中間的なエリアです。歴史を感じる大きな農家も点在しています。そうした中で、今回のグループホームが現代の民家のような存在となることを考えました。伝統的な民家は深い軒をもつ大きな屋根が絶対的ともいえる存在であることと対照的に、その屋根の下に展開する出入り口や窓、道具掛けなどの要素は気ままにすらみえる自由さで展開していることが多いです。茅葺のなめらかな屋根面と多様な要素のパッチワークである壁面の対比、この民家的なシステムともいえる姿は、人がそこに居て、活動していることにふさわしいどっしりとした印象を見る人に与えます。このような安定した姿をもつ福祉施設を目指したいと思いました。また、ケアの現場は多数の世話人の方々が時間ごとに入れ替わりながら運営されています。グループホームは家のような環境をつくることを目指しているわけですが、世話人の方々の存在からも、閉鎖的ともいえる核家族の住宅に近づこうとするよりは、働くことと住むことが一体となったかつての民家のような、開放的でおおらかな住まいを目指すほうが自然なように思います。

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期間

2021.6〜2023.9

用途

グループホーム

担当

乾久美子、大藤尚生、米山剛平、武蔵眞己、沼田優花

所在地

埼玉県比企郡ときがわ町

延床面積

271m2

施主

社会福祉法人 昴

設計

建築 乾久美子建築設計事務所
構造 テクトニカ
機械 yamada machinery office
電気 桜組

施工

細田建設株式会社

撮影

乾久美子建築設計事務所