都市における福祉施設の可能性をひらく / 品川区立障害児者総合支援施設

20200825

多様な世代、障害特性に対してひらかれた場をつくる

短期入所、生活介護、日中一時支援、児童発達支援センター、放課後等デイサービス、就労継続支援B型、地域活動支援センター、訪問看護、精神科クリニック、相談支援センターなど、多様な世代、障がい特性に広くひらかれた多機能な福祉施設です。多機能であることで生まれるシナジーをより高めるために、開放的なレストランや展示室、本格的な音響環境を備えたホールも併設しています。

20210720
20220226 アサダワタルさんギャラリートーク
20220226_作者によって着目するポイントや表現が全然違う
20220226_撮影するとすぐに印刷されるポラロイドカメラ
20220226_ポラロイドカメラでの記録、撮影している様子も展示
20220226_まちづくり協議会による品川の原風景の展示
20220226_制作過程の記録集
20220226_まちに対する様々な展示の重なり
20220226_ロビーには日常を撮影した加藤甫さんの写真

各地の作品とメンバーさんの活動の混ざった現場ならではの展覧会

2022年2月24日から3月6日まで展示室で開催されている「この街で待つ」のレポートです。施設の立ち上げから共に関わってきた指定管理者の一つである愛成会さんが今年9月で本施設での活動を終えるため、愛成会さんによる最後の展覧会となっています。品川のまちとともに積上げてきた活動の記録と「まち」をテーマとして各地から集まってきたアールブリュットの作品が一緒に展示されている見応えのある展覧会でした。ディレクターのアサダさんのギャラリートークでは、制作の様子やそれぞれの方が興味を持っている視点、何を強く記憶しているのかなど解説をお聞きし、一人一人全く違うまちの捉え方や楽しみ方があるということを感じられました。展示室以外の色々なスペースに写真家の加藤甫さんによる日々の活動の写真も展示されており、福祉の毎日の様子を知ることができる場所になっていました。

凸凹の形をいかして居心地を追求する

段々の形が不自然にならないように沢山の箱を寄せ集めたような形としていますが、箱の集まりであることは間取りにもよい影響を与えています。間取りの凹凸でできるちょっとした居場所や、部屋としてはつながっているけど見えないような場所、大勢で集まる場所などがシームレスにつながり、「生活」の場としてのやさしい雰囲気を作り出しています。窓が全周にあいていて、どの場所からも外と気持ちよくつながれる、全方位に開かれた施設になっています。

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20190828

高さ制限をいかして沢山の屋上庭園をつくっていく

敷地は都心部で、高さ制限や日影規制が厳しいエリアです。その制約を踏まえ、周辺のビルや人家に圧迫感を与えず、しかし同時に多様な機能やスペースを沢山つめこんだ楽しい施設にしたい。このような運営者の気持ちを叶えるために、北側の道路に対して段々に下がっていくような外観と、6階建てという大きさを合わせて実現しています。段々となった外観を利用して、各階に楽しい屋上庭園をつくっています。

information

期間

2015.2〜2019.06

用途

障害児者総合支援施設

所在地

東京都品川区

延床面積

6870m2

施主

品川区

設計

建築 乾久美子建築設計事務所
構造 Arup東京
設備 森村設計
舞台 シアターワークショップ
音響 浪花千葉音響計画

撮影

阿野太一、加藤甫、社会福祉法人愛成会