屋根研究
祠それ自体に屋根があり、その祠を守るように専用の屋根が架かり、さらにその屋根は民家の庇の下にすべりこみ、複雑な屋根の重なり合いがうまれています。ここには、2つの面白さがあると思います。ひとつに屋根には複雑に重なり合い、しまいには互いにくっついてしまう、といった性質があるように思います。というのも、寺社建築にみられる、鞘堂のように本来建物として完結しているものをその上から覆うものや、双堂が時代を下るなかで、ふたつの屋根の形式を残しながらひとつの屋根に統合されるといった例が思い浮かぶからです。もうひとつに普段あまり意識しませんが、建築のエレメントはスケールの伸び縮みへの適応能力が非常に高いことが分かります。特に屋根は雨風からその下のものを守るという点で建物に限らず、屋外にあるものにとっては等しく役に立つため、身の回りの様々なものに色々なかたちでくっついています。
(高岡市/富山県)