ランドスケープエコロジー

20061025

環境問題の解決が現代において待ったなしの状況であることは、理解しているものの、どうも日常において実感がない、という気持ちは珍しいものではないと思います。このとき思い浮かべる「環境」は極めて抽象的なもので、日常生活との断絶があまりにも大きいことがひとつの要因であると思っています。「環境」の輪郭をもう少し日常に引き寄せて捉えることはできないか?この問いに対するヒントがこの本にはいくつも書かれていると思いました。東京郊外の土地改変を伴う宅地開発地区における雑草群落の分布が土地の切り盛りに影響を受けているということと、オーストラリアでの砂漠化の進行とが、スケールは違えど、同じ視座から語られます。具体の場所における緻密な調査を通して自然と人為の関係を描き出していく様からは、つかみどころのない「環境」ではなく、日常と地続きのところにある「環境」の存在を教えてくれているように思いました。

出版年月日:2006.10.6
出版:朝倉書店
著者:武内和彦

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