地下水と地形の科学ー水文学入門

2013212

湧水のある場所は人々の癒しや子どもの遊び場として、魅力的なコモンズとして存在していますが、湧水を生み出す地下水の仕組みについて解説されたこの本には、地下水は地質に規制されて動くのではなく地形が地下水の全体の流れを決めていると述べられてます。興味深いのは、地下水は面的に広がる性質を持ち、地形の形状が地下水の器となるため、集中的に集まる場所ができるという仕組みを持つことであり、地域の地形の特徴により、水が湧き出る場所がうまれてくるということです。また、世界的動向として、地下水管理から更に一歩進んだ、「地下水ガバナンス」の確立を目指す中で、水循環、水共同体、水信仰、水文化という四象限の知を統合した「統合性」こそが重要であるという記述も興味深いです。豊かな水のまちとはどのようにしてできていくのか、またどう持続していくのかについて考えるきっかけをもらえる一冊です。

出版年月日:2023.02.12
出版:講談社
著者:榧根勇

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